コーヒーの濃度:TDS、Brix

コーヒーの科学

 コーヒーの味わいを決める要素の一つに、「コーヒーの濃さ」があるかと思います。例えば「アメリカンコーヒー」は薄めで、「エスプレッソ」は濃い目だというようなイメージです。そこでコーヒーの濃さを客観的に評価する方法をネットで調査してみると「TDS」や「Brix」というワードがでてきました。そこで今回はその「TDS」および「Brix」を紹介するとともに、実際に「Brix」について測定してみましたので、あわせて報告します。

TDSとは?

 「TDS」とは「Total Dissolved Solid」 の略で、「総溶解固形分」のことだそうです。。漢字を見る限りでは、「固形分」が「溶けた(溶解した)」「総て」だといった感じでしょうか。実際にそんな意味らしく、要は水に溶けている物質の量(濃度)を数値で表し、値が高いほど水に溶けている物質が多くなるようです。この「TDS」はコーヒーに限らず、例えばミネラルウォーターなどでミネラルの量についての指標として使われるようです。

TDSを測るには?

 では、どのようにしてコーヒーのTDSを測るかというと、専用の測定機械が販売されていました。

https://www.atago.net/japanese/images/jpcatalog/pal-coffee_ja.pdf

色々なブログで、みなさん使われていますが、気になるお値段は約3万円。。欲しいけど。。。目を皿のようにして、上記のカタログを見ていると、例として挙げられているグラフには「濃度:Brix」と書かれています。Brix ! 実はBrixを測定する機械ならば手元にあります!! そこで Brix について改めて調べてみます。

Brix とは?

 Brixとは ウィキペディア によりますと、

Brix(ブリックス)値は、主に食品産業のワイン、精糖、果実農業などで、ショ糖(いわゆる砂糖)、果糖、転化糖、ブドウ糖など、いわゆる糖の含有量を測るために、糖度として用いられる物理量である。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

となっています。糖の濃度をあらわす値という事ですよね。それでは「お砂糖を入れていないブラックコーヒーの Brix はゼロになるということ?」と思ったのですが、そうではないようです。先程のウィキペディアのページ内に続けて、

ショ糖以外の固形成分を含む溶液では、Brix値は固形成分濃度の目安になるが、ショ糖以外の糖成分、糖成分以外(例えば食塩)も屈折作用を持つため、そのまま糖の量(重量分率)となるわけではないことに注意が必要である。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

と書かれていました。何やら、文章の後半は難しいですが、前半の部分には、 「Brix値は固形成分濃度の目安になる」と明記されています。そこで、実際にコーヒーのBrixを測るとどうなるのか?を以下で実験してみます。

コーヒーの Brix測定実験

 まずは、コーヒーを自分が決めた量だけ溶かす必要があります。そこで今回は、スタバのVIAを使うことにしました。VIAは粉末状のコーヒーであり、基本的にはすべてを溶かすことができます。よって今回の実験には最適です。

VIA 1袋を200mlの水に溶かしてみる

 VIAは1袋あたり、2.1gと書かれています。これに対して、推奨のお湯の量は180mlとなっていますが、今回の計量カップはそこまで細かい目盛りはないので、200mlの水に溶かしてみます。

よって濃度としては、2.1(g) / 200(ml) x 100 ≒ 1.05(%)になるかと思います。正確な分母は 2.1(g) + 200(ml) なんでしょうけど。。
 

まずはBrix計を説明書にしたがって、水でゼロ合わせして、


Brixを計測してみると、

1.5% ! 予想計算値よりも全然高い!!



という訳で、色々とググってみると、どうもBrix と TDSの関係は、

   Brix × 0.79 = TDS

となるらしいとの情報がありました。そこで、今回の結果をそれに従って計算してみると、

   TDS = 1.5 × 0.79 = 1.185 となります。

一応、計算値の1.05(%)には近づきましたが、なんだか微妙な感じ。。

VIA 1袋/100ml と 1袋/200ml を比べてみる

 そこで、次に、同じVIAの濃度を変化させたら、Brix は比例して変化するか?を確かめる事にしました。
 つまり、
(a) 2.1(g) の VIAを100(ml) の水に溶かしてBrixを測定。
(b)(a)に100(ml)の水を加えBrixを測定。

(b)で計測したBrix の値が(a)で計測したBrixの値の1/2になっていたら、(濃度の正確さは分からないが) 濃度の変化はきちんと測れている、と捉えたい訳です。

 先程のVIA(COLOMBIA)はなくなりましたので、”PIKE PLACE ROAST”に代えて実験してみます。

まずは、(a)の 2.1(g)/100(ml)では、

Brix = 3.0(%)。

測定で使用した分をきちんとスポイドでカップに戻して、、


100(ml)の水を加えて、(b)の 2.1(g)/200(ml)を測定してみると、

1.5(%)!!

よって 、
2.1(g)/100(ml) –> Brix 3.0(%)
2.1(g)/200(ml) –> Brix 1.5(%) と1/2 になっていました!!

まとめ

  スタバのVIAを使って、コーヒーのBrixを測定してみました。
・測定値が、実際に溶けている量を、きちんと表しているかはわからないが、
・同じコーヒーであれば、コーヒーの濃度の差はきちんと区別できる
ことが分かりました。

 今後は色々な市販コーヒーのBrixを測定してみたいと思います。
(コメント等、頂けますと幸いです。)

コメント

  1. […] Brixについて実験した記事が こちら […]

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